ボーナスの手取りが思ったより少なくて首をかしげてるアンタ。月給と同じ計算だと思ってるだろ
賞与から引かれる社会保険料と所得税は、月給とは別の計算方法です。前月の給与額で税率が決まる仕組みや、年末調整で精算される部分を解説します。

支給額を見て喜んで、振込額を見て黙る。毎年同じことをやっている。それ、仕様を読まずに出力だけ見て驚いているのと同じだよ。計算方法が月給と違う。
賞与は、月給と別の計算をしている
給与明細の控除欄には、だいたい同じ項目が並ぶ。健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税。だが賞与はこれらの計算方法が月給と違う。
月給は「標準報酬月額」という区分に当てはめて社会保険料を決める。賞与は「標準賞与額」を使う。別の基準で、別の上限がある。
社会保険料には上限がある
賞与にかかる健康保険料と厚生年金保険料には、それぞれ上限が設けられている。しかも上限の考え方が違う。
- 健康保険 — 年度の累計で上限が決まる
- 厚生年金 — 1回の支給ごとに上限が決まる
この違いのせいで、年に2回の賞与で、1回目と2回目の引かれ方が変わることがある。「同じ金額なのに手取りが違う」の正体はここにあることが多い。具体的な上限額は改定されるので、協会けんぽや日本年金機構のページで確認する。
所得税は「前月の給与」で率が決まる
ここが一番直感に反する。賞与から引かれる所得税の率は、その賞与の額ではなく、前月の給与額と扶養親族の数から決まる。
つまり、前月に残業が多くて給与が高かった人は、賞与にかかる率も高くなる。賞与の額が同じでも、前月の状況で引かれ方が変わる。
ここで引かれる額は仮の計算だ。年末調整で1年分をまとめて精算するので、引かれ過ぎていれば戻ってくる。賞与の時点で多く引かれていること自体は、間違いではない。
雇用保険料は賞与にもかかる
見落とされやすい項目だ。雇用保険料は賞与にもかかる。率は低いが、支給額が大きいと金額としては目に見える。
こちらには上限の仕組みが無いので、支給額に応じて素直に増える。
住民税は、賞与から引かれない
逆に、賞与から引かれない項目もある。住民税は前年の所得に基づいて計算され、月々の給与から分割して引かれる。賞与からは引かれない。
だから賞与が増えても、その年の住民税は変わらない。影響が出るのは翌年度だ。ここを知らずに「ボーナスが出たから住民税も上がった」と思っている人がいるが、時期がずれている。
手取りを事前に見積もる
驚きたくなければ、支給前に計算しておけばいい。
- 社会保険料 — 標準賞与額に料率をかける。上限に当たるかを確認する
- 雇用保険料 — 支給額に料率をかける
- 所得税 — 前月の給与額と扶養親族の数から率を調べ、社会保険料を引いた額にかける
この順番で、おおよその額は出る。料率は年度ごとに改定されるので、各機関の公表値を使う。去年の料率で計算すると、またずれる。
賞与を前提にした支払いを組まない
手取りがぶれる前提で考えると、使い方の判断も変わる。
- 支給額は会社の業績で変わる。固定収入ではない
- 手取りは前月の給与や上限の状況で変わる
- 支給前に組んだ支払い計画は、両方のぶれを受ける
10月分の記事でも書いたが、受け取る前の金を担保にするのは危ない。賞与払いを設定したローンやカードは、支給額が下がった年に効いてくる。
明細を保管する
最後に、地味だが効く話をする。賞与の明細は保管しておくこと。
- 年末調整や確定申告のときに、年間の収入を確認する材料になる
- 社会保険料の累計が上限に達したかを確認できる
- 翌年、同じ時期に比較する材料になる
3つ目が効く。去年の明細と並べると、何が変わったかが一目で分かる。手取りが減った理由を推測で考えるより早い。
まとめ
- 賞与の社会保険料は標準賞与額で計算し、月給とは別の上限がある
- 健康保険は年度累計、厚生年金は1回ごとに上限。回ごとに引かれ方が変わる
- 所得税の率は賞与額ではなく、前月の給与と扶養親族の数で決まる
- 賞与の所得税は仮の計算。年末調整で精算される
- 住民税は賞与から引かれない。影響が出るのは翌年度
毎年同じところで驚くなら、去年の明細を並べてみる。驚きは、仕組みを知らないことから来ているだけだよ。
参考・出典
※制度・統計・ガイドラインは改定されることがあります。実際の手続きや判断にあたっては、各機関の公式サイトで最新の内容をご確認ください。(リンク最終確認: 2026年10月3日)