年末調整の紙を「例年通り」で出すアンタ。取り返せる控除を、毎年捨ててるよ
年末調整で申告漏れが起きやすい控除を挙げ、間に合わなかった場合の還付申告まで含めて、取りこぼしを防ぐ確認手順を解説します。

11月ごろに配られる、あの紙。去年のコピーを見ながら同じ内容を書いて提出する。それで済んでいるならいいが、状況が変わっているのに書き換えていないなら、払わなくていい税金を払っている。
年末調整は「精算」の手続き
毎月の給与から引かれている所得税は、あくまで概算だ。年間の所得が確定していない段階で、見込みで徴収している。
年末調整は、1年間の所得と控除を確定させて、多く取りすぎていた分を返す(あるいは不足分を徴収する)手続きになる。つまり、控除の申告を漏らすと、その分だけ返ってこない。
申告漏れが起きやすい控除
1. 生命保険料控除・地震保険料控除
保険会社から10月ごろに控除証明書が届く。これを紛失して、そのまま申告しない人が一定数いる。再発行は可能なので、無くしたら保険会社に連絡すればいい。
生命保険料控除は、一般生命保険・介護医療保険・個人年金保険の3区分に分かれている。複数の保険に入っているなら、全部出す。1枚だけ出して終わりにしている人が多い。
2. iDeCo(小規模企業共済等掛金控除)
掛金の全額が所得控除の対象になる。国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届くので、これを添付する。
掛金が給与天引きの場合は会社が把握しているが、口座振替にしている場合は自分で申告しないと反映されない。ここが漏れやすい。
3. 配偶者控除・配偶者特別控除
配偶者の年収によって、控除額が段階的に変わる。配偶者の働き方が変わった年は、必ず見直す。前年のまま書いて、実際と違っていると後で修正が必要になる。
4. 扶養控除の対象の増減
- 子どもが16歳になった年(扶養控除の対象になる)
- 子どもが就職して扶養から外れた
- 親を扶養に入れられるケース: 別居していても、生計を一にしていて所得要件を満たせば対象になりうる。仕送りをしている場合は確認する価値がある
5. 住宅ローン控除(2年目以降)
初年度は確定申告が必要だが、2年目以降は年末調整で処理できる。税務署から送られてくる証明書と、金融機関の残高証明書が必要になる。書類を保管していないと手続きできないので注意する。
年末調整では処理できない控除
次のものは、年末調整の対象外だ。適用を受けるには確定申告が必要になる。
- 医療費控除: 世帯合計の医療費が一定額を超えた場合。通院の交通費が対象になることもある
- セルフメディケーション税制: 特定の市販薬の購入額に応じた控除。医療費控除との併用はできない
- 寄附金控除: ふるさと納税でワンストップ特例を使わない場合など
- 雑損控除: 災害・盗難による損害
- 住宅ローン控除の初年度
医療費控除は「10万円を超えないと使えない」と思われがちだが、所得が一定額未満の場合は基準が下がる。年間の医療費が10万円に届かなくても、確認する価値がある場合がある。
出し忘れても、後から取り戻せる
ここが重要だ。年末調整で申告し忘れても、諦める必要はない。
還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間できる。過去の分をさかのぼって請求することも可能だ。
「去年、保険料控除を出し忘れた」と気づいたなら、今からでも手続きできる。5年分まとめて、という人もいる。
やるべきこと
- 10〜11月に届く控除証明書を、1か所にまとめて保管する(毎年ここで紛失が起きる)
- 今年、家族構成・保険・住宅・働き方に変化がなかったかを確認する
- 医療費のレシートを1年分保管しておく
- 年末調整の後、確定申告が必要な控除がないかを確認する
紙1枚の書き方で、数万円が動くことがある。「例年通り」で処理するには、金額が大きすぎる。
※控除の適用可否や具体的な金額については、税務署または税理士にご確認ください。
参考・出典
※制度・統計・ガイドラインは改定されることがあります。実際の手続きや判断にあたっては、各機関の公式サイトで最新の内容をご確認ください。(リンク最終確認: 2026年9月1日)