2026.10.02 / VOL. 40 / 全 666 記事

トリウィア

高解像度な本音。

ぼんやりした世論を、Webディレクターの解像度で鮮明に、かつ辛口に切り出す記録。

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医療費控除を「10万円超えないから無理」で諦めてるアンタ。その条件、全員に当てはまるわけじゃないよ

医療費控除の基準は一律10万円ではありません。所得が一定額未満なら基準は下がり、市販薬だけで使える別制度もあります。何が対象で何が対象外か、整理して解説します。

お金

「医療費控除は10万円から」。これを覚えた時点で思考が止まっている人が多い。その10万円という数字には条件が付いている。条件を読まずに定数だけ暗記するから、毎年取り返せるものを捨てることになる。

基準は「10万円」か「所得の5%」のどちらか低い方

国税庁の説明では、医療費控除の計算で差し引く金額は、その年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%、200万円以上の人は10万円となっている。

つまり所得が低い人ほど、基準のハードルも下がる。パート・アルバイト、育休で年の途中から収入が減った年、独立初年度で所得が少なかった年。こういう年は、10万円に届かなくても対象になる可能性がある。

「去年は無理だったから今年も無理」ではない。基準がその年の所得で動くというのが、この制度の仕様だ。

世帯でまとめられる

生計を一にする家族の医療費は、まとめて1人が申告できる。別居していても、生活費を送金している親などは対象になりうる。

バラバラに数えて「誰も10万円に届かない」と判断するのが、いちばん多い取りこぼしだ。まず合算する。それから判定する。順番が逆になっている人が多い。

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対象になるもの、ならないもの

領収書を全部突っ込めばいいわけではない。分け方の感覚はこうだ。

  • 対象になりやすい — 治療のための診療費・薬代、治療に必要な通院の交通費(公共交通機関)、治療目的の歯科治療
  • 対象になりにくい — 予防や健康増進が目的のもの、美容目的のもの、自家用車で通院したガソリン代や駐車場代

判断の軸は「治療か、予防・美容か」だ。人間ドックそのものは対象外だが、そこで重大な疾病が見つかって治療に入った場合は扱いが変わる、といった例外もある。迷うものは自分で決めずに税務署に聞くのが早い。

保険金や高額療養費を受け取った分は引く

入院給付金や高額療養費として戻ってきた金額は、支払った医療費から差し引く。ここを差し引かずに申告すると、単に間違いになる。戻ってきた分は自分が負担していない。

市販薬だけで使える別ルートもある

対象となる市販薬(スイッチOTC医薬品など)の購入額をもとに計算するセルフメディケーション税制という制度がある。通常の医療費控除とどちらか一方しか選べないのが重要な点だ。

病院にほとんど行かないが市販薬はよく買う、という人はこちら側が有利になることがある。対象商品のレシートには目印が付いていることが多い。捨てる前に見ておくといい。

やることは、年内に1つだけ

レシートと領収書を、1つの封筒か1つのフォルダに放り込む。分類はしなくていい。集める場所を1か所に決めるだけで、申告時の作業が現実的な重さになる。

明細の確認には、健康保険から届く医療費通知も使える。申告時の添付書類として使える場合があるので、届いたら捨てないこと。

過去の分も、まだ間に合う可能性がある

今年の話だけではない。給与所得者が還付を受けるための申告(還付申告)は、その年の翌年から5年間できるとされている。

つまり、去年も一昨年も医療費が多かったが申告していない、という人は、まだ手が打てる。3年前に大きな入院や手術があった年を思い出してみるといい。当時は10万円の条件で諦めていて、実は所得が低い年だった、という組み合わせは起こりうる。

必要なのは、その年の医療費の記録と源泉徴収票だ。領収書を捨ててしまっていても、健康保険の医療費通知や、医療機関に依頼する支払証明で埋められる場合がある。諦める前に、数字を並べて判定だけしてみる。判定するだけならコストはゼロだ。

まとめ

  • 基準は10万円固定ではない。総所得金額等が200万円未満なら、その5%
  • 生計を一にする家族の分は合算できる。先に合算、あとで判定
  • 治療目的なら対象、予防・美容目的は対象外。保険金で戻った分は差し引く
  • 市販薬中心ならセルフメディケーション税制。ただし医療費控除との併用は不可

※税額や対象の個別判断については、国税庁の資料または税務署にご確認ください。

参考・出典

※制度・統計・ガイドラインは改定されることがあります。実際の手続きや判断にあたっては、各機関の公式サイトで最新の内容をご確認ください。(リンク最終確認: 2026年9月30日)

書いた人

トリウィア編集部

ぼんやりした世論を、仕様書を読む解像度で切り出しています。Webディレクター兼エンジニア。